こんにちは、amazon物販コンサルタントの中村裕紀です。
輸入ビジネスでは、関税・消費税を正しく支払う必要があります。
利益計算をするなら、商品の仕入れ代金や海外送料の他、関税・消費税も考慮する必要があります。
商品によっては、関税・消費税の負担が大きいこともあります。
しかし、だからといって関税や消費税を安く申告することは脱税行為になるので、絶対にやってはいけません。
自ら進んで脱税行為をする人は少ないと思いますが、意図せず関税・消費税を安く申告してしまう申告ミスもあります。
申告ミスで気を付けないといけないのが「アンダーバリュー」です。
本記事ではアンダーバリューについて解説しますので、輸入転売、海外メーカー仕入れなどをやっている方は注意してください。
目次
アンダーバリューとは?
アンダーバリューとは、請求書(インボイス)を実際の商品価格や海外送料より安く記載して、関税や消費税を通関時に安くする行為です。
関税・消費税は商品価格や海外送料に対してかかりますから、商品価格や海外送料を安く記載すれば、関税・消費税が安くなります。
当然、アンダーバリューは脱税行為の1つですから、最悪関税法違反に問われることになりかねません。
また、悪意がなくても知らずにアンダーバリューを行っていれば、過少申告加算税や延滞税を支払うことになり、余計な費用が発生します。
アンダーバリューが起こりやすいケース
もっともアンダーバリューが発生しやすいケースが、仕入先が購入者のことを思って、良かれと思って意図的にインボイスの価格を安く記載しておくことです。
「商品価格は500ドルだけど、通関時のインボイスでは400ドルと記載しておくよ」
「通関時のインボイスで価格を安く書いておきますね」
こんなことを仕入先から言われたら、確実に断らなければいけません。
また、上記のような連絡がなくても、良かれと思って知らないうちにインボイスの価格が安く記載されていることもあります。
この場合は、手元に届く請求書や、後述するように輸入許可通知書を確認して、自分が支払った額と同じか確認してください。
間違っている場合は、必ず仕入先に対して正しく金額を書くように依頼してください。
他にもアンダーバリューが発生する要因はありますが、もっとも発生しやすいケースが仕入先の好意によるものなので十分注意してください。
アンダーバリューは税務調査でバレる
所得税や法人税の脱税や申告漏れがいずれバレるように、関税や消費税の脱税も税務調査が入った時点でバレます。
特に輸入ビジネスをしていれば、インボイスや輸入居許可通知書は、税務調査でも確認されやすい項目です。
実際にアンダーバリューを行っているケースもあるので、税務署も目を光らせています。
アンダーバリューは税務調査がなくてもバレる
アンダーバリューは税務調査があれば、ほぼ確実にバレると思って間違いないですが、税務調査がなくてもバレる場合があります。
というのも、税関は、通関した商品や価格を管理しているので、商品の相場を把握しています。
「このアウトドア用品はだいたいこのくらいの相場だろう」ということがわかっている仕組みになっているのです。
1,000円くらいの相場の商品を、50円で購入していれば明らかに怪しいわけです。
これはレンジアウトといって、輸入通関時にシステムがエラー検知するようになっています。
また、システムだけではなく、税関職員も「明らかにインボイスの中身がおかしい」と思えば自分でチェックします。
以上のことから、アンダーバリューは税関でもチェックされるので、基本的にはバレると思ってください。
後述するように、多くの場合は税関に通関書類を提出して審査を受けることになります。
関税・消費税を間違った場合は速やかに修正申告をする
アンダーバリューについては、上記のように仕入先が良かれと思ってインボイスに虚偽の記載をするケースが大半です。
この点さえ気を付ければ、基本的にはアンダーバリューを防ぐことができます。
ただ、関税や消費税の申告後に、アンダーバリューが発覚するようなことがあれば速やかに修正申告をするようにしてください。
特に自主的に修正申告をすれば過少申告加算税はかかりませんし、延滞税も早ければ早いほど安く済みます。
売上管理やアンダーバリューをチェックに|輸入許可通知書の確認方法
アンダーバリューの有無に関係なく、輸入した際に気を付けなければいけないことは、以下の3点が揃っていることです。
- 消費税、関税の請求明細書
- 商品の請求書
- 輸入許可通知書
通常3点が手元に届くはずですが、こちらからお願いしないともらえない場合があるので、配送会社(FedEx、DHLなど)必ずもらうようにしましょう。
特に輸入許可通知書は、輸入者に5年間の保管義務があり、税務調査などでも確認される場合があるので必須です。
紛失した場合は再発行してもらうようにしてください。
万が一、輸入許可証がない場合は、FedExやDHLなどの配送会社に追跡番号を伝えれば大丈夫です。
このなかで、輸入許可通知書については、売上の適正管理や、アンダーバリューの有無を確認できるので、見方を押さえておくといいでしょう。
慣れない方には少し複雑ですが、海外送料、保険料などの記載があり、全部でいくら関税や消費税が掛かっているかを確認することができます。
輸入許可通知書の例と記載内容
輸入許可通知書については、説明する箇所の意味がわかっていれば問題ありません。
輸入許可通知書は、以下の図のようなものです(個人情報に関する記載は隠しています)。
上記の輸入許可通知書で、確認すべき点は次の通りです。
- お名前、住所、電話番号
- 発送元の名前や住所
- 通関を代理で行う業者と担当者の名前(転送会社など)
- 「船卸港=貨物が到着した国内の港名」「積出地=貨物を発送した海外の港名」
- 貨物の個数と重量
- 貨物に対してかかった「関税」「消費税(内国消費税)」「地方消費税」の総額
- 「関税」「消費税(内国消費税)」「地方消費税」の合計額
- 通関区分
- 品名ごとの税表番号、申告価格(CIF価格)
- 関税額、関税率
- 消費税(現在は消費税の税率は7.8%、地方消費税の税率は22/78)
申告価格や貨物の個数や重量なども確認できるので、アンダーバリューの有無を確認する1つの方法になります。
また、最終的な売上管理にも繋げることができるので、今後の仕入れ判断の参考にすることも可能です。
通関区分とは?
このなかで、比較的何のことかわかりづらいのが⑧「通関区分」ではないかと思われます。
通関区分は、輸入車の信用や扱う品目によって「1」「2」「3X」「3R」「3K」「3M」の6種類があります。
1 | 簡易審査扱い:輸入(納税)申告後直ちに輸入許可される。 |
2 | 書類審査扱い: 税関に通関書類を提出して審査を受ける。 |
3 | 検査扱い: 税関員が現物検査を行う。具体的には以下の通り。 |
3X | 大型X線検査を行う。 |
3R | 保管場所で現物を開封して確認する現場検査を行う。 |
3K | 税関の検査場で現物を開封して確認する検査場検査を行う。 |
3M | 見本確認を行う。 |
多くの場合、「区分2」に該当します。
「区分2」は通関書類を提出するので、ここでアンダーバリューがあれば発覚する可能性があります。
「区分3」の場合は、何かしら現物検査が行われ、時間がかかることがありますが、かなり稀なケースです。
輸入実績はないのに、よほど大量に仕入れることがない限りは「区分2」に該当することが大半です。
最後に
以上、輸入ビジネスで注意したいアンダーバリューについて解説しました。
アンダーバリューが一番発生しやすいパターンは、仕入先が好意でインボイスの価格を安く記載することです。
アンダーバリューは当然断らないといけませんし、インボイスの価格記載が間違っていたら修正を依頼するようにしましょう。
日本人の私達からすると考えられないかもしれませんが、日本と海外では商習慣が違い、アンダーバリューも実際に起こり得るので注意してください。
なお、関税・消費税については以下の記事も参考にしてください。
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