こんにちは、amazon物販コミュニティ「EC STARs Lab.」の中村裕紀です。
物販において利益率は大変重要な指標です。
物販経験者であれば、「そんなことわかってるよ!」という声が聞こえてきそうですが、今回は改めてamazonメーカー仕入れの利益率について深掘りします。
というのも、メーカー仕入れの利益率アップの考え方が、せどりや転売などの他の物販とは少し違ってくるためです。
利益率が低いな……と悩んでいる方や、今の利益率が適正なのかイマイチわからないな……と思っている方に、少しでもお力になれたら嬉しいです^^
目次
そもそも物販の利益率とは?
そもそも利益率にもいくつか種類があることはご存知でしょうか?
一般的に物販の世界で多く用いられる利益率は「売上総利益率」と呼ばれているものです。
別名、粗利率とも言います。
おそらく、1度は「粗利が〇%」なんていう言葉を聞いたことがあるかと思います。
売上総利益率(粗利率)は、売上総利益(粗利)÷売上高×100で計算することができます。
売上総利益(粗利)は、売上高から仕入れや在庫などのいわゆる売上原価を引いた金額のことを差します。
在庫がない場合であれば、売上総利益(粗利)=売上高-仕入高で求めることができます。
しかし、物販の場合は在庫のあるビジネスなので、「売上総利益(粗利)=売上高-売上原価(月初在庫+仕入高-月末在庫)」が厳密な計算方法です(確定申告のときは注意してくださいね)。
また、利益率には営業利益率というのも存在します。
営業利益率を計算式で表すと、営業利益÷売上高×100となります。
営業利益は、売上総利益(粗利)から仕入れ以外の営業にかかった経費(外注費や通信費、消耗品費など)を差し引いた後に残る利益を差します。
物販でも、当然外注費(FBA納品代行や商品リサーチ代行など)や通信費、消耗品費は発生します。
図で例を表すと以下の通りです。
売上高 | 1,500 | 単位(千円) | |
月初在庫 | 500 | ||
仕入高 | 900 | ||
月末在庫 | 400 | ||
売上原価 (月初在庫+仕入高-月末在庫) | 1,000 | (月初500千円+仕入900千円-月末400千円) | |
売上総利益(粗利) (売上高-売上原価) | 500 | 33%(粗利500千円÷売上高1,500千円×100) | |
営業にかかった経費 | 300 | 外注費や通信、消耗品費、手数料など | |
営業利益 (粗利-営業にかかった経費) | 200 | 13%(営業利益200千円÷売上高1,500千円×100) |
他にも利益率の種類は存在しますが、物販で利益計算する際や、確定申告の際は売上総利益率や営業利益について知っておけば十分です。
特に物販で「利益率」と言えば、基本的には「売上総利益率」を指します。
そこで今回は、売上総利益率(以下、利益率と呼びます)をベースに話を進めて参ります^^
メーカー仕入れの利益率はどのくらい?
amazonメーカー仕入れの場合、初心者と経験者では利益率の目安は大きく異なります。
メーカー仕入れを始めたばかりの方であれば、だいたい最低利益率を10%としている方が多いです。
利益計算をしてみて、回転が良さような商品なら、利益率5%~8%でも仕入れてみると良いでしょう。
利益率が10%を切る商品はライバルセラーも仕入れを躊躇することが多く、ライバルが少ない傾向にありますので、意外とチャンスです。
「割と利益率低いんだな」と思われた方も、継続して作業をしていく内に、利益率20%前後などのメーカー商品も出品できますので、信じて行動してみてください^^
また、経験を積んでくると、資金力にも余裕ができ、大きいロットで仕入れて卸値を下げることも可能です。さらに、メーカーさんとの信頼関係を構築できるため、随時卸値の交渉をして自分だけ安く仕入れることも実現します。
つまり、最初は利益率が5~8%くらいと低くても、リピート仕入れをすることで利益率を上げていくことができるのです。この点は、せどりや転売では不可能で、メーカー仕入れならではの魅力と言えます。
詳しい内容は次の項でご説明します。
メーカー仕入れの利益率を高める方法
メーカー仕入れで、利益率を高める方法は主に4つです。
- 在庫を見直す
- メーカーと交渉して安く仕入れる
- 高く売る(定価販売)
- FBA倉庫に納品するための送料を見直す
ではamazonメーカー仕入れの利益率を高めるには、具体的にどのようにすればいいかを見ていきましょう^^
メーカー仕入れの利益率を高める方法は、せどりや転売のような他の物販にはないノウハウも含まれるので、物販経験者の方もぜひご覧ください。
在庫を見直す
利益率は売り上げた商品の全体で見るだけではなく、商品ごとに見ていく必要があります。
「この商品は利益率15%あるのに、この商品は利益率2%しかない……」という状況はよくあることです。
利益率が低い商品が増えて、赤字になってしまったものを含めると「全体の利益率が5%になってしまっている!」なんてこともあり得るわけです。
この場合、単純に利益率の低い商品の出品をやめれば、利益率は上がっていきます。
しかし、もともと利益率が10%だった商品が5%に下がったなど、利益率が下がった商品には必ず下がった原因があります。原因を見つけ、対策することで利益率が戻ることもあります。
利益率が下がる原因で、よくあるのがライバルセラーの急激な増加です。
そうならないために、必ず商品ごとに利益率を見ていき、利益率が低い商品は今後仕入れないであるとか、先ほどまで書いてきた利益率アップの方法を試すかして対策を行います。
このように正しく取捨選択を行っていくとみるみる利益率は改善されていきますので、面倒くさがらずにやってみてくださいね^^
メーカーと交渉して安く仕入れる
これは前項でもお話ししましたが、商品を安く仕入れるには、大きなロットで買うか、メーカーさんとの信頼関係を構築して随時卸値を下げてもらう交渉をするかのいずれかです。
どちらにしても、せどり・転売ビジネスでは決してできない、メーカー仕入れの大きな特徴の一つです。
卸値を下げてもらう交渉の仕方については、こちらの記事で解説していますで、良ければご覧ください^^
高く売る(定価販売)
商品を通常より高く売ることができれば利益率も当然上がりますが、それは需要が供給を上回らない限り実現しません。
せどり・転売でプレミア商品を狙って出品している方なら、高く売る事も可能でしょう。
メーカー仕入れの場合、たまたま販売している商品がテレビやYouTubeなどのメディアに取り上げられた場合などに価格が高騰することもありますが、それは一瞬の出来事に過ぎません。
すぐに元通りになってしまいます。
つまり、メーカー仕入れでは「高く売る」というのは現実的ではないため、ここでは「定価販売」を目指します。
定価販売なら当たり前じゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうとも限りません。
amazonのプラットフォームの特性上、何も対策をしていなければ一つの商品ページにたくさんのライバルセラーが集まります。
ライバルセラーが多くなり自分の商品が売れなくなれば、他セラーよりも安くして早く売り切りたいと普通は考えます。
そうなれば必然と価格競争が起こり、定価よりも安く販売されてしまいます。これが、amazon販売でよく起こる価格崩壊です。
しかし、価格崩壊を防いで定価販売することができれば、利益率を高い状態で保つことができます。
定価販売をする方法は、おおむね限定化と独占化のどちらかに絞られます。
なお、ライバルセラーがたくさんいても、メーカーさんの働きかけによって全員が定価販売を守っているケースもありますが、ライバルが多く売れない状態には変わりないのでここでは触れません。
FBA倉庫に納品するための送料を見直す
FBA倉庫に納品するための送料を見直すことも、利益率アップに繋がります。
まだ商品数が少ないうちはそれほど大きな影響は受けませんが、商品数が多くなり発送する量が増えてくると差が出てくるので、一度送料を見直してみるのも一つの手です。
ここでは送料を見直して、利益率にアップに繋がる2つの方法をお伝えします。
【ヤマトパートナーキャリアを利用する】
FBA倉庫に納品する際、安く発送できる方法の一つが「ヤマトパートナーキャリア」を利用することです。
上記にようにかなり安く利用することができるので、まだヤマトパートナーキャリアを利用していない方がいらっしゃいましたら今の送料と比較していただき、利用を検討されても良いでしょう。
ヤマトパートナーキャリアについては以下の記事もご参考いただければと思います。
【メーカーさんに直接FBA倉庫に発送してもらう】
送料を見直す上でもう一つ効果的なのが、メーカーさんに直接FBA倉庫に発送してもらうことです。
メーカーさんからFBA倉庫に直送してもらえれば、メーカーさんが送料を負担してくれるので送料を抑えることが可能となります。
詳しいメーカー直送の方法については以下の記事を参考にしてみてください。
定価販売と利益率を守り抜く|販売者の限定化・独占化の方法
メーカーさんからamazonの商品販売を任せてもらうことは、amazonメーカー仕入れの一つのゴールと言ってもいいでしょう。
販売しているのは自分だけ。他にライバルセラーは存在しない。もはや値下げに悩まされることはなく、最高の気分になるでしょう^^
しかし、完全な独占契約ではなく、amazon販売を独占するということだけでも、なかなか難しい話であることも事実です。
なので、amazon販売の独占まではいかなくても、まずは販売者を限定化してもらうメーカーを増やすことが重要です。
まず限定化をしてもらうことで、のちのちamazon販売の独占に繋がることもありますので、焦らずに今できることをやっていきましょう^^
限定化をしてもらうためにするべきことは、ズバリ他のセラーとの差別化です。
メーカーさんから、このセラーとは繋がっておきたいと思わせることが限定化への一歩です。
限定化をしてもらうための効果的な具体例は以下の通りです。
メーカーに対してamazonのプラットフォームの仕組みを説明する
まず最初にやるべきは、メーカーさんにamazonのプラットフォームの仕組みを説明することです。
メーカーさんの中には、amazonの仕組みを理解していない人も多いです。
そのため、先のライバルとの価格競争が想定しておらず、多くのセラーに商品を卸してしまう事態が発生します。
メーカーさんには、多くのセラーに商品を卸してもらうと価格崩壊の可能性が高いなど、具体的にどのようになってしまうかをきちんと伝えます。
例えば、プライスターなどの価格追従ツールの存在も説明し、amazonでは簡単に価格競争が起こってしまう事実を理解してもらいましょう。
賢いメーカーさんであれば、これだけ丁寧に説明すれば限定化してくれることもあります。
訪問して実際の資料などを見せながら伝えるのがベストですが、今であればZOOMやSkypeを利用しても良いでしょう。
ライバルセラーが値下げをしたら、随時メーカーに報告する
ライバルセラーが1人でも値下げをしたら、価格競争を防ぐために、随時メーカーに報告するようにしましょう。
状況を放っておいて価格崩壊が起こった時に、「価格崩壊が起こっているのでどうにかしてください!」と言ったところでメーカーさんも打ち手がありません。
なので、普段から他のセラーが値下げをした時点で、随時メーカーさんにどの販売者が値下げをしたかを伝えておくのが理想です。
そうすることにより、頻繁に値下げをしている販売者を特定することができ、「この販売者は値下げをよくするので、今後の取引を見直してみてはいかがでしょうか?」といった提案がしやすくなります。
メーカーさんとしても、商品を守ってくれるセラーと取引したいはずなので、販売者の限定化をしてくれる可能性がグッと高まります。
メーカーから新商品が出たら、進んで新規出品登録して販売する
取引メーカーが新商品を発売したら、進んで新規出品登録して販売するように交渉してみましょう。
こちらは物販初心者や資金に余裕のない方には少し難しいですが、とても強力な差別化となります。
メーカーさんと取引していると、新商品を紹介されることがたびたびあります。
メーカーさんとしても新商品の販売促進には力を入れたいはずです。
しかし、新商品というのは言ってしまえば、売れるかどうかわからないものということです。
新商品を進んで仕入れるようなセラーはなかなかいないので、あえてメーカーさんに対して、「新商品のamazonでの新規出品登録をさせてください!」と持ち掛けます。
ここで、「できればこの商品のamazon販売は私だけに任せていただけないでしょうか?」と交渉してみるのです。
以前に新規出品登録をした実績などを話したり、先で述べたamazonプラットフォームの仕組みを説明していたりすれば、より効果的です。
メーカーさんとしても新規出品ページを作ってもらえるなら嬉しいはずなので、恩を売ることができて一目置かれることでしょう。
もしOKがもらえたら、その商品はあなただけの独占販売となり、大きな資産になります!!
もちろん売れる出品ページを作るのはなかなか難しいですし、仮によい出品ページが作れたとしても実際に売れるかどうかはわからないので、少し上級者向けの話になってしまいます。
あまりに新規性の高い商品など、場合によっては、クラウドファンディングでテスト販売してからamazon販売した方がいいこともあります。
ただ、夢のあるビジネス展開ができるので、こういう方法もあるんだなと頭の片隅に入れておいてください。
メーカー仕入れでは最初は利益率よりも売上が大事
さて、ここまで利益率の大切さや、利益率アップの方法をお話してきましたが、メーカー仕入れに至っては、初心者は利益率よりも売上を伸ばすことの方が大事です。
ライバルセラーがほとんどいないなど、本当に良い商品に出会えたのであれば、利益がトントンでも仕入れるべきだとすら思っています。
その理由は3点ありますので一つずつ解説していきます。
リピート仕入れで卸値を安くできる
すでにお伝えしていますが、メーカー仕入れの場合、メーカーと信頼関係を構築しながら卸値を安くするように交渉することが可能です。
また、資金力に余裕が出て、正しく仕入れ判断ができればロットを増やすことで卸値を下げることも可能です。
ですので、本当に良い商品に出会えれば、最初は利益率が低くても、少量でも仕入れるべきと思っています。
まずは、取引するメーカーを増やして継続的に利益が得られる商品を増やすことが大切です。
初心者はまずはカートボックスを獲得する
2点目は、初心者の方はある程度売り上げを立てないとカートボックスを獲ることができないからです。
最近アカウントを作成された方は、かなりカートボックスが獲りづらくなっています。
私のコンサル生も、始めたばかりの方はカートが獲れずによくご相談をいただきます。
初心者の方がカートボックスを獲りにくい理由は、amazonの気持ちになってみるとよくわかります。
商品を昔から販売しているセラーと、新規に入ってきたセラーがいた場合、前者の方が実績があるわけです。そのため、amazonは前者のセラーに売ってもらった方が問題が起きるリスクが低いと判断します。
逆に新規セラーは、販売の実績がないのでamazon側としても本当にこのセラーに販売させて大丈夫かな?と最初は様子を見たいはずです。
少しづつ販売させてみて、クレームなどが起こらない誠実なセラーだと判断わかれば、カートも徐々に獲らせてあげようと思うのは自然ですよね。
コロナの影響で、悪質な転売屋が増えたことから、amazonも用心深くなっているのかもしれません。
つまり、最初のカートが獲れない状況を解決するには、まずは踏ん張って利益トントンだろうと売り上げを立てることが肝心だと、私のコンサル生には伝えています。
そうすることで、いつの間にかカートボックスが獲れるようになってくるのです。
amazonのアルゴリズムはよく変更されるので、今後どうなるかはわかりませんが、現状はそのようになっています。
初心者の方は最初は辛いですが必ず乗り越えられるので、頑張っていきましょう^^
こちらの記事でさらに詳しい対応策も書いていますので、是非ご覧ください!!
売上が上がれば融資に有利になる
事業を伸ばす上で、融資を受けるのはとても大事なフェーズです。
amazonメーカー仕入れを始める際に、まとまった資金がある方であれば融資は必要ないかもしれませんが、ほとんどの場合、融資を受けることになるでしょう。
受けられる融資の額は、基本的に直近の月商の2~3倍の額と言われています。
直近3ヶ月の平均売上が約100万だとしたら、その2倍~3倍のおおむね200万から300万が融資額になり得ます。
つまり、融資を受ける場合に審査の基準となるのは、利益ではなく売上だということです。
「月平均の売上が50万で利益が10万」よりも、「月平均の売上が100万で利益が10万」の方が、より大きい融資額を引っ張ることができます。
前者は利益率20%で、後者は利益率10%なので、一見、前者の方が効率的に稼げて良いようにも見えます。しかし、事業を今後伸ばしていきたいと考えている方は、薄利でもまず売上を立てることに注力し、大きな融資を受けるのもありです。
融資で得たお金をもとに仕入れをした方が、レバレッジが効くのでより早く稼ぐことができます。
以上の3点から、初心者の方には、利益率は二の次で売上を立てることが先決だと伝えています。
中には融資を受けるために、赤字でも仕入れている方もいらっしゃるくらいです。
融資については人それぞれ考え方が違いますし、最初は自分が持つ資金範囲内でリスクを抑えてやりたいと考える方もいるでしょう。
もちろん、その考え方でもメーカー仕入れは可能なので、やり方はお任せします。
融資に関しては、こちらの動画も参考になさってください^^(2倍速でどうぞ!)
最後に
amazonメーカー仕入れの利益率は、経験値を積むほど増えていきます。
一見メーカー仕入れの利益率は低いように感じられるかもしれませんが、長期的に見るとどうでしょうか?
たしかに転売やせどりとメーカー仕入れを比較した場合、転売やせどりのほうが利益率が高いことがあります。しかし、転売やせどりで仕入れた商品のほとんどはその場限りの商品です、次の月利益が出るかは分かりません。
メーカー仕入れのように長期的にリピート発注はできませんし、信頼関係の構築など不可能です。
また、本文でも触れたように、amazonのセラーに対する目も厳しくなっており、真贋調査などによるアカウント閉鎖のリスクも必ず付きまとうため、転売やせどりは今後もやりにくくなるでしょう。
長期的に見れば、メーカー仕入れの方が優位であることは間違いありませんが、もちろん短期的に稼げればいいと思っている方もいるので、押し付けたりはしません。
ただ、もし「せどりのリサーチ地獄に疲れた……」「ちゃんとした自分の堅実なビジネスを持ちたい!」という方は、ぜひamazonメーカ仕入れにチャレンジしてみてください^^
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